取引するのは「調整できる能力」
一般送配電事業者が、需給や周波数を安定させるための調整力を商品ごとに調達します。
投資家・事業者向け市場解説
電力の需要と供給をリアルタイムで近づける「調整力」の市場。蓄電池投資にどう関係し、何を見極めるべきかを整理します。
One-minute answer
需給調整市場は「電気を売る市場」とは異なります。価値の中心は、系統の変動に応じられる能力です。
一般送配電事業者が、需給や周波数を安定させるための調整力を商品ごとに調達します。
充放電を短時間で切り替えられるため、設備仕様と運用要件が合えば調整力の供出候補になります。
落札率、可用性、劣化、アグリゲーター費用、制度変更まで含めて事業性を評価する必要があります。
同時同量電力は発電と消費を絶えず近づける必要があります。
Why it matters
電力は大規模に貯めにくく、需要と供給の差が広がると周波数が乱れ、安定供給へ影響します。天候で出力が変わる再生可能エネルギーが増えるほど、短時間で差を埋める柔軟性の価値が高まります。
制度・商品要件は、電力需給調整力取引所(EPRX)および関係機関の最新版をご確認ください。
How it works
実際の手続きや時期は商品・エリア・年度により異なります。ここでは投資検討に必要な全体像へ絞って示します。
設備性能、計測・通信、運用体制など、商品ごとの要件を確認します。
供出可能な調整力と価格を、定められた取引単位で入札します。
約定後は、求められる出力変化へ応じられる状態を維持します。
需給状況に応じ、オンライン指令または商品に定められた方法で応動します。
供出実績や要件への適合を評価し、規程に沿って対価を精算します。
Five products
「一次・二次・三次」という名称は優劣ではなく、対応する変動の速さと運用方法の違いを表します。
| 比較項目 | 一次調整力 | 二次調整力① | 二次調整力② | 三次調整力① | 三次調整力② |
|---|---|---|---|---|---|
| 応動時間 | 10秒以内 | 5分以内 | 5分以内 | 15分以内 | 60分以内 |
| 継続時間 | 5分以上 | 30分以上 | 30分以上 | 30分 | 30分 |
| 主な役割 | 瞬時の周波数変動へ対応 | 短周期変動への自動追従 | 長周期の予測ずれを調整 | 当日内の需給差を調整 | 前日段階の再エネ予測誤差などへ対応 |
※上記は制度理解のための概要です。オンライン/オフライン区分、計測、通信、指令、アセスメント等の詳細条件は、参加時点の取引規程・商品要件をご確認ください。
Battery advantage
蓄電池は「充電する」「放電する」「待機する」を制御できます。ただし性能だけでなく、長期にわたり止めずに運用できる設計が事業性を左右します。
電源の立ち上げを待たず、制御指令へ短時間で応答できる特性があります。
SOCの範囲内で充電と放電を切り替え、需要・供給双方の変化へ対応できます。
需給調整市場だけでなく、容量市場や卸電力市場も含めて運用計画を検討できます。
Revenue structure
需給調整市場の収益性は、対価の名称だけでなく、落札から実績評価までの条件を通して判断します。
実際の算定・精算は商品、規程、アセスメント等により異なります。
「待機だけで必ず儲かる」と単純化せず、運用コストと条件を同時に確認します。
Market watch
需給調整市場は、商品拡充後も取引方法や募集量、価格規律などの見直しが続く市場です。直近価格だけを長期収益へ延長せず、制度変更と競争環境を分けて検証します。
2026年6月時点。最新情報は電力需給調整力取引所(EPRX)公式サイト等をご確認ください。
What changes returns
市場価格だけを追っても、事業性は判断できません。設備・契約・運用を含む複数の変数で感度分析します。
調達量や参加者数、応札状況で約定環境は変わります。
想定するコマ数すべてで落札できるとは限りません。
故障・保守・通信停止は応札機会と実績評価へ影響します。
充電率の維持とサイクル劣化を両立する運用が必要です。
アグリゲーター、通信、電力調達、O&M等を織り込みます。
商品要件、取引時期、価格規律などの改定へ備えます。
Decision checklist
収益上振れより先に、参加できない・止まる・想定より落札しないリスクを点検します。
FAQ
需給調整市場は実需給に近い時間帯のバランス維持、容量市場は将来の供給力確保、卸電力市場は電力量そのものの売買を主な役割とします。目的・取引対象・時間軸が異なるため、蓄電池事業では各市場を分けて収益性と制約を評価します。
落札し、定められた要件を満たして供出可能な状態を維持した場合、調整力の確保に対する対価が生じる考え方です。ただし、入札・約定・アセスメント・可用性などの条件があり、常に収益が発生するわけではありません。
主な違いは応動時間、継続時間、追従方法、対象とする需給変動です。一次は瞬時の周波数変動、二次は短〜中周期、三次は予測誤差など、より計画的な調整を担います。詳細要件は商品要件や取引規程の最新版で確認が必要です。
設備を設置するだけで自動的に参加できるわけではありません。商品ごとの応動性能、計測・通信、事前審査、運用体制、アグリゲーションなどの要件を満たす必要があります。
影響する可能性があります。募集量、取引時期、商品要件、価格規律、手数料、アセスメントなどは改定され得ます。事業計画は単一の価格前提に固定せず、複数シナリオと感度分析で確認することが重要です。
保証されません。約定価格、落札率、稼働率、劣化、電力調達費、アグリゲーター費用、制度変更などにより変動します。表示される試算は前提条件を確認し、将来収益を約束するものではないことを理解する必要があります。
市場の基本目的は共通ですが、設備規模、接続条件、計測・通信方式、参加単位、アグリゲーションの要否などが異なります。案件ごとに設備仕様と参加スキームを組み合わせて確認します。
設備仕様と商品要件の適合、接続・工事条件、アグリゲーター契約、O&M、劣化と可用性、収益シナリオ、制度変更時の下振れ耐性を確認してください。REVIX JAPANでは案件条件を整理したうえで相談を承ります。
For your project
設備規模、接続条件、運用方法を伺い、需給調整市場を含む事業検討の論点を整理します。
市場収益・利回り・約定を保証するものではありません。個別条件と最新制度に基づき検討します。