系統用蓄電池ビジネスの成功を共に創る。

投資家・事業者向け市場解説

BALANCING MARKET 需給調整市場とは

電力の需要と供給をリアルタイムで近づける「調整力」の市場。蓄電池投資にどう関係し、何を見極めるべきかを整理します。

01 市場が必要な理由
02 蓄電池の収益構造
03 投資判断の注意点

One-minute answer

まず1分で、
結論をつかむ。

需給調整市場は「電気を売る市場」とは異なります。価値の中心は、系統の変動に応じられる能力です。

1

取引するのは「調整できる能力」

一般送配電事業者が、需給や周波数を安定させるための調整力を商品ごとに調達します。

2

蓄電池は速い応答を活かせる

充放電を短時間で切り替えられるため、設備仕様と運用要件が合えば調整力の供出候補になります。

3

収益は価格だけでは決まらない

落札率、可用性、劣化、アグリゲーター費用、制度変更まで含めて事業性を評価する必要があります。

送電網と再生可能エネルギー設備を俯瞰した電力インフラ

同時同量電力は発電と消費を絶えず近づける必要があります。

Why it matters

なぜ、調整力が
必要なのか。

電力は大規模に貯めにくく、需要と供給の差が広がると周波数が乱れ、安定供給へ影響します。天候で出力が変わる再生可能エネルギーが増えるほど、短時間で差を埋める柔軟性の価値が高まります。

需要側 消費量
供給側 発電量

制度・商品要件は、電力需給調整力取引所(EPRX)および関係機関の最新版をご確認ください。

How it works

入札から精算まで。
市場の基本的な流れ。

実際の手続きや時期は商品・エリア・年度により異なります。ここでは投資検討に必要な全体像へ絞って示します。

  1. STEP 01

    参加準備・審査

    設備性能、計測・通信、運用体制など、商品ごとの要件を確認します。

  2. STEP 02

    価格・量を入札

    供出可能な調整力と価格を、定められた取引単位で入札します。

  3. STEP 03

    約定・待機

    約定後は、求められる出力変化へ応じられる状態を維持します。

  4. STEP 04

    指令・応動

    需給状況に応じ、オンライン指令または商品に定められた方法で応動します。

  5. STEP 05

    実績評価・精算

    供出実績や要件への適合を評価し、規程に沿って対価を精算します。

ΔkW価値 必要なときに調整できる状態を確保する能力への対価。
kWh価値 実際の指令で供出した電力量に関わる精算。商品により扱いが異なります。

Five products

5つの商品は、
応動の速さと役割が違う。

「一次・二次・三次」という名称は優劣ではなく、対応する変動の速さと運用方法の違いを表します。

比較項目 一次調整力 二次調整力① 二次調整力② 三次調整力① 三次調整力②
応動時間 10秒以内 5分以内 5分以内 15分以内 60分以内
継続時間 5分以上 30分以上 30分以上 30分 30分
主な役割 瞬時の周波数変動へ対応 短周期変動への自動追従 長周期の予測ずれを調整 当日内の需給差を調整 前日段階の再エネ予測誤差などへ対応

一次調整力

応動時間
10秒以内
継続時間
5分以上
主な役割
瞬時の周波数変動

二次調整力①

応動時間
5分以内
継続時間
30分以上
主な役割
短周期変動への自動追従

二次調整力②

応動時間
5分以内
継続時間
30分以上
主な役割
長周期の予測ずれ

三次調整力①

応動時間
15分以内
継続時間
30分
主な役割
当日内の需給差

三次調整力②

応動時間
60分以内
継続時間
30分
主な役割
前日段階の予測誤差

※上記は制度理解のための概要です。オンライン/オフライン区分、計測、通信、指令、アセスメント等の詳細条件は、参加時点の取引規程・商品要件をご確認ください。

Battery advantage

なぜ蓄電池が、
調整力に向くのか。

蓄電池は「充電する」「放電する」「待機する」を制御できます。ただし性能だけでなく、長期にわたり止めずに運用できる設計が事業性を左右します。

応答が速い

電源の立ち上げを待たず、制御指令へ短時間で応答できる特性があります。

上げ・下げ双方を調整できる

SOCの範囲内で充電と放電を切り替え、需要・供給双方の変化へ対応できます。

複数市場を組み合わせられる

需給調整市場だけでなく、容量市場や卸電力市場も含めて運用計画を検討できます。

系統用蓄電池設備を点検する技術者

Revenue structure

「待機」と「発動」を
分けて理解する。

需給調整市場の収益性は、対価の名称だけでなく、落札から実績評価までの条件を通して判断します。

CAPABILITY

ΔkW価値
調整できる状態への対価

落札量 × 約定価格 × 対象時間

実際の算定・精算は商品、規程、アセスメント等により異なります。

ACTIVATION

kWh価値
実際の応動に関わる精算

  • 指令に応じた充放電量
  • 電力の調達・販売に関わる費用
  • 商品ごとの精算ルール
  • 一次調整力など例外的な扱い

「待機だけで必ず儲かる」と単純化せず、運用コストと条件を同時に確認します。

電力市場の運用データを確認するエネルギー事業者

Market watch

固定相場ではない。
制度の移行を前提に読む。

需給調整市場は、商品拡充後も取引方法や募集量、価格規律などの見直しが続く市場です。直近価格だけを長期収益へ延長せず、制度変更と競争環境を分けて検証します。

  • 高い約定価格が、そのまま長期継続するとは限らない
  • 応札不足や競争状況は、商品・エリア・時期で異なる
  • 運用開始後も、最新版の規程・商品要件を追跡する

2026年6月時点。最新情報は電力需給調整力取引所(EPRX)公式サイト等をご確認ください。

What changes returns

収益を動かす、
6つの変数。

市場価格だけを追っても、事業性は判断できません。設備・契約・運用を含む複数の変数で感度分析します。

01

募集量と競争環境

調達量や参加者数、応札状況で約定環境は変わります。

02

落札率と約定価格

想定するコマ数すべてで落札できるとは限りません。

03

設備の可用性

故障・保守・通信停止は応札機会と実績評価へ影響します。

04

SOCと劣化管理

充電率の維持とサイクル劣化を両立する運用が必要です。

05

運用・接続コスト

アグリゲーター、通信、電力調達、O&M等を織り込みます。

06

制度・規程の変更

商品要件、取引時期、価格規律などの改定へ備えます。

蓄電池事業の計画資料を確認する事業担当者

Decision checklist

投資判断は、
市場予測だけで決めない。

収益上振れより先に、参加できない・止まる・想定より落札しないリスクを点検します。

  • 対象商品と設備性能が適合しているか
  • 計測・通信・制御体制を構築できるか
  • 接続・工事・運開時期が現実的か
  • アグリゲーター契約の費用と責任範囲は明確か
  • 劣化・停止・未落札の下振れを織り込んだか
  • 制度変更後も成立する複数シナリオがあるか

FAQ

需給調整市場の
よくある質問。

需給調整市場・容量市場・卸電力市場の違いは何ですか?

需給調整市場は実需給に近い時間帯のバランス維持、容量市場は将来の供給力確保、卸電力市場は電力量そのものの売買を主な役割とします。目的・取引対象・時間軸が異なるため、蓄電池事業では各市場を分けて収益性と制約を評価します。

蓄電池は待機しているだけで収益になりますか?

落札し、定められた要件を満たして供出可能な状態を維持した場合、調整力の確保に対する対価が生じる考え方です。ただし、入札・約定・アセスメント・可用性などの条件があり、常に収益が発生するわけではありません。

一次・二次・三次調整力は何が違いますか?

主な違いは応動時間、継続時間、追従方法、対象とする需給変動です。一次は瞬時の周波数変動、二次は短〜中周期、三次は予測誤差など、より計画的な調整を担います。詳細要件は商品要件や取引規程の最新版で確認が必要です。

系統用蓄電池なら必ず市場参加できますか?

設備を設置するだけで自動的に参加できるわけではありません。商品ごとの応動性能、計測・通信、事前審査、運用体制、アグリゲーションなどの要件を満たす必要があります。

制度変更は収益に影響しますか?

影響する可能性があります。募集量、取引時期、商品要件、価格規律、手数料、アセスメントなどは改定され得ます。事業計画は単一の価格前提に固定せず、複数シナリオと感度分析で確認することが重要です。

収益は保証されますか?

保証されません。約定価格、落札率、稼働率、劣化、電力調達費、アグリゲーター費用、制度変更などにより変動します。表示される試算は前提条件を確認し、将来収益を約束するものではないことを理解する必要があります。

低圧と高圧で関係する市場は違いますか?

市場の基本目的は共通ですが、設備規模、接続条件、計測・通信方式、参加単位、アグリゲーションの要否などが異なります。案件ごとに設備仕様と参加スキームを組み合わせて確認します。

投資判断の前に何を確認すべきですか?

設備仕様と商品要件の適合、接続・工事条件、アグリゲーター契約、O&M、劣化と可用性、収益シナリオ、制度変更時の下振れ耐性を確認してください。REVIX JAPANでは案件条件を整理したうえで相談を承ります。

For your project

制度の理解を、
案件の判断へ。

設備規模、接続条件、運用方法を伺い、需給調整市場を含む事業検討の論点を整理します。

市場収益・利回り・約定を保証するものではありません。個別条件と最新制度に基づき検討します。